Monday.com数百人解雇、Deezerの半分がAI生成——「AIで人を減らせる会社」と「AIでゴミが増える会社」の決定的な違い
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AIは「人を減らす道具」か「ゴミを増やす装置」か
Monday.comが数百人を解雇してAIに全振りした。同じ週、Deezerでは日々のアップロードの50%以上がAI生成楽曲だと判明した。6月だけで9万曲以上。
この2つのニュース、並べると見えてくるものがある。
AIで「人件費を構造的に下げた」会社と、AIで「価値のないものを大量生産された」会社。
同じAIなのに、結果が真逆だ。この分岐は何で決まるのか。そして中小企業はどっち側に立つべきなのか。
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Monday.comが切ったのは「人」ではなく「構造」
Monday.comはプロジェクト管理ツールのSaaS企業だ。2025年7月、数百人規模の解雇を発表し、AI中心の組織へ再編する方針を明確にした。
ここで注目すべきは「AIを入れたから人を切った」という単純な話ではない点だ。
同社がやったのは、業務プロセスそのものをAI前提で再設計したということ。従来5人で回していた業務フローを、AIが処理できる形に分解し、人間がやるべき部分だけを残した。結果として、同じアウトプットを出すのに必要な人数が構造的に減った。
これは「リストラ」というより「設計変更」に近い。
SaaS企業の人件費は売上の40〜60%を占めることが多い。仮に年間人件費が50億円の会社で20%の業務をAIに移管できれば、年間10億円が浮く。その原資を製品開発やAI投資に回せる。競合がまだ人力で回している間に、コスト構造で圧倒的な差がつく。
Monday.comの判断が正しいかどうかは今後の業績が証明するが、少なくとも「AIをどこに使うか」を明確に定義して、組織構造ごと変えたという点は、単なるコスト削減とは次元が違う。
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Deezerで起きていること——AIが「コストゼロのゴミ」を量産する世界
一方、Deezerの話は構造がまったく異なる。
音楽ストリーミングプラットフォームに、AI生成の楽曲が洪水のように流れ込んでいる。日々のアップロードの50%以上がAI生成。6月だけで9万曲超。
なぜこうなるか。理由は単純で、楽曲を作るコストが限りなくゼロに近づいたからだ。
従来、1曲を作るには作曲、編曲、録音、ミキシングで数十万〜数百万円かかった。それがAIツールを使えば、プロンプトを入力するだけで数分で1曲できる。コストはほぼゼロ。
コストがゼロになると何が起きるか。「作る判断基準」が消える。
人間が作る場合、1曲に数十万円かかるから「この曲は出す価値があるか」を真剣に考える。AIで作る場合、コストがゼロだから「とりあえず100曲作ってアップしておこう」になる。ストリーミングの再生回数で微々たる収益が入る可能性があるなら、数を打つのが合理的だ。
結果、プラットフォームはAI生成の低品質コンテンツで埋め尽くされる。リスナーは聴きたい曲にたどり着けなくなる。アーティストの楽曲が埋もれる。プラットフォームの価値そのものが毀損される。
これが「AIでゴミが増える」構造だ。AIの問題ではない。コストがゼロになったときに、品質のフィルターを持たない仕組みの問題だ。
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Substackが打った手——「人間が書いた」が価値になる時代
この流れに対して、ニュースレタープラットフォームのSubstackが興味深い動きを見せた。AI検出ツールの導入だ。
100語以上のテキストをスキャンし、AIによって書かれた部分を特定する機能を実装した。
これは単なる技術的な対応ではない。「人間が書いたこと」自体が差別化要因になるという市場の変化を先取りした動きだ。
コンテンツ生成コストがゼロに近づくと、AI生成コンテンツは溢れかえる。そうなると、希少なのは「人間が考え、人間の経験に基づいて書いたもの」になる。Substackはその希少性にラベルを付けた。
この構造、中小企業にとって極めて重要な示唆がある。
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中小企業にとっての本当の分岐点
ここからが本題だ。
Monday.comの話もDeezerの話も、大企業やプラットフォームの話に見える。でも、この2つの事例が示す構造は、そのまま地方の中小企業にも当てはまる。
分岐点は「AIをどこに使うか」の1点に集約される
パターンA:AIを「バックオフィス」に使う → コストが下がる
- 見積書作成、請求処理、日報集計、問い合わせ対応の一次振り分け
- 月20時間かかっていた経理作業が3時間になる
- パート1人分の人件費(月15万円)が、AIツール月5,000円に置き換わる
- 浮いた時間とコストを、営業や顧客対応に回せる
これはMonday.com型の使い方だ。人間がやらなくていい作業をAIに渡し、人間は人間にしかできないことに集中する。
パターンB:AIを「アウトプット」にそのまま使う → ゴミが増える
- AIで生成したブログ記事をそのまま公開する
- AIで作った営業メールをそのまま送る
- AIで生成した提案書をそのまま提出する
これはDeezer型だ。コストがゼロだから大量に作れる。でも、受け取る側はすぐわかる。「ああ、これAIが書いたやつだ」と。
地方の中小企業の強みは「顔が見える関係性」だ。社長が直接顧客と話し、現場を知っている人間が提案する。その信頼関係の上にAI生成の定型文を乗せたら、信頼が毀損される。コストは下がるが、それ以上に価値が下がる。
判断基準はシンプルだ
「そのAI活用は、顧客から見えるところか、見えないところか」
- 顧客から見えないところ(バックオフィス、社内業務)→ ガンガン使え
- 顧客から見えるところ(提案書、コンテンツ、コミュニケーション)→ 人間のフィルターを必ず通せ
これだけだ。
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「コストゼロ時代」に中小企業が勝つ方法
AIによって、コンテンツ制作も、コード生成も、デザインも、コストが劇的に下がっている。これは大企業も中小企業も同じ条件だ。
では中小企業はどうやって差別化するのか。
答えは逆説的だが、「AIが安くしたもの」ではなく「AIが安くできないもの」で勝負することだ。
- 地域の顧客との長年の関係性
- 現場を知っている人間の判断力
- 「この人に頼みたい」という指名の信頼
- 業界特有の暗黙知や経験則
これらはAIでは生成できない。そしてAIの普及によって、むしろこれらの価値は相対的に上がる。
AIがコモディティ化させるものは大企業に任せればいい。中小企業は、AIでバックオフィスのコストを下げながら、人間にしか出せない価値に経営資源を集中させる。これが「AIで人が減る」でも「AIでゴミが増える」でもない、第三の道だ。
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で、結局どうすればいいのか
明日からできることを3つだけ挙げる。
1. まずバックオフィスの「繰り返し作業」を1つAIに渡す
議事録の要約、メールの下書き、データ入力。月額数千円のツールで始められる。効果を数字で測る。「月◯時間削減」「月◯円削減」。
2. 顧客に届くアウトプットには必ず人間の目と手を入れる
AIに下書きを作らせるのはいい。でも最終チェックと仕上げは人間がやる。「AIっぽさ」は顧客にバレる。バレた瞬間、信頼が削れる。
3. 「自分たちにしかない価値」を言語化する
AIが代替できない自社の強みは何か。それを明確にしないと、AIに投資すべき領域と、人間に投資すべき領域の判断ができない。
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Monday.comは組織構造を変えた。Deezerはゴミの洪水に飲まれた。Substackは「人間であること」にラベルを付けた。
3社の対応はバラバラだが、突きつけている問いは同じだ。
「あなたの会社は、AIで何のコストを下げて、何の価値を上げるのか」
この問いに答えられない会社は、どちら側に転んでも危うい。
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JA
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